インプラントの定義とは?
しっかりした技術を身につけていない医師の治療を受け、トラブルになっているケースもあるようです。
また、安かろう悪かろうというインプラント製品も出回り始めています。
全世界に広がりを見せているために、インプラント体の製造メーカーも増えています。
ブローネマルク博士の理論に基づいたブローネマルクシステムや、その改良型という正規の商品なら問題ないのですが、コピー商品、租悪コピーインプラントも出回るようになっているのです。
インプラント治療は、犬の実験から研究、臨床と膨大な時間と努力を積み重ねて今日のシステムが完成しました。
また、さらなる進歩のための研究もかかせません。
特に人体に用いるインプラントシステムの開発、研究費には莫大なコストがかかります。
先日もメーカーの担当者がやってきて、新しいインプラント体を開発したので使ってほしいと依頼されました。
動物実験での安全性を確かめたとのことですが、科学的理論に基づいた臨床試験を行っていない製品は、私の患者さんには絶対に使いません。
しっかりしたエビデンスと安全性を確かめてからでないと、どうしても使えないのです。
正規版のインプラントは、複数の高額な特許がかかっており、これが価格に転嫁されているために一本当たりの値段が高いのも事実です。
このことが需要が高まっていることと相まって、値段の安い違法コピー商品を生む土壌になっていることも否定できません。
しかも、違法コピーと知りながら使用している歯科医師がいることも事実です。
インプラント治療が現在保険診療になっていないということも、かえって違法コピーを氾濫させる土壌になっていることも否定できません。
これらの違法コピー製品は、患者さんの人生を支える健全な岨囁機能に、長い年月耐えられるのでしょうか。
本物と見た目は似ているから大丈夫、という考えは絶対に承服してはいけないと思います。
違法コピー品でも埋入してすぐには問題が起こらないこともありますが、長い間にはさまざまなトラブルを引き起こす危険性を秘めています。
違法コピーの氾濫については使用する医師のモラルが問われるのですが、治療を受ける側としても、異常に値段が安いインプラントは気をつけるべきです。
最終的に、自分の歯や骨を一層失ってしまうことになる可能性があるわけですから。
歯肉もインプラント成功に関与しているアルプレクソン教授が指摘したオッセオインテグレーションが成功するための六項目の条件に加え、近年、七番目の条件として歯肉が指摘されています。
歯肉にある程度の厚み(高さ)がなければ、インプラントを塩入しても骨が吸収されるということがわかってきたのです。
歯肉と骨の位置関係は、その距離(高さ)が三ミリ以上なければ、その高さを確保するために骨が自発的に吸収されてしまうといわれます。
つまり、これを予防して骨をある程度確保するためには、歯肉に適当な厚みがなければならないということになるのです。
また歯肉は、インプラント体そのものの形と性能もかかわっていることがわかってきています。
もちろんねじ山の形や表面のきめの粗さなどは電子顕微鏡でなければ確認できませんが、歯肉を貫通し上部の歯を載せるアバットメントとインプラント体の隙間については確認が可能です。
ぴったり隙間なくフィットしていなければ、細菌の感染や汚染といったトラブルを引き起こす原因となります。
またインプラントとアバットメントの大きさも問題です。
インプラント体に対して、アバットメントが若干小さいものが正規版です。
違法コピーには、アバットメントとインプラントの口径が同じかあるいはアバットメントのほうが大きいものがあります。
仮にアバットメントがインプラントと同じ大きさかそれ以上に大きいものを装着すると、装着部分が骨に引っかかり浮き上がってくることがあります。
こうなると継ぎ目に歯肉の炎症が起こって時間が経つにつれて引っかかった骨が吸収されガタつきが出て、最悪の場合はインプラントが抜けてしまいます。
時には骨が溶け出すといった最悪の状態になることもあります。
すでに述べたように口の中には三〇〇種とも五〇〇種ともいわれる大量の細菌がいます。
よい細菌もいれば、虫歯菌や歯周病菌など歓迎できない細菌も多数います。
歯周病を治療してインプラントを埋入したといえども、恒常的に細菌がいる状況は変わらないので、口腔内の治療は感染との戦いといっても過言ではありません。
治療にあたっては、使用器具の消毒滅菌、殺菌を的確に行うことで、いかに細菌の攻撃をかわすことができるかが成否を左右します。
もともとの歯には歯周病に感染しても防御する機能がありますが、インプラントの場合は、感染するとインプラントが抜けるまで進行は止まりません。
いい状態で治療しても、アバットメント接続後一年で周囲の骨は一ミリから二五ミリ骨が吸収されることは、一九八六年の時点で確認されています。
その意味からも、インプラント体とアバットメントの関係はポイントになります。
アバットメントはインプラントにぴったり隙間なく密着しているのが理想ですが、アバットメントはインプラントよりわずかに小さくなければ浮き上がり、最終的にはゆるみや感染により骨の吸収を引き起こすことがあります。
インプラント体はアバットメントにしっかりとくっつき、細菌から生体を守っています。
その歯肉がしっかりと硬ければ骨は吸収されにくくなります。
つまり、引き締まった三ミリ以上の歯肉があるかどうかも、インプラント治療の成否にかかわってきます。
骨の吸収は、歯肉の厚みとも関係しています。
人間の場合、正常な歯肉の厚みは平均で、二・七~二・八ミリで、これを生物学的幅径といいます。
もし、歯肉の薄い人にインプラントを埋入すると生物学的幅径により、身体は約三ミリの歯肉の厚みを保とうとして骨が吸収されてしまうのです。
仮に歯肉の厚みが二リしかない人にインプラントを埋入すると、必要な厚みである三ミリを補充するため、骨のほうを二ミリ吸収することでそのバランスを取ろうとします。
こうして、人間は自分の骨を守っているわけです。
インプラントを埋入しただけでも骨は吸収されます。
ブローネマルクタイプのインプラントを例にとると、埋大した最初の年に一ミリ、その後、一年に〇二ミリずつ吸収していきますが、歯肉が薄いとさらに吸収が早くなります。
インプラントの成否について、一九九八年、スウェーデンのエスポジツト教授が複数の研究者の三六本の論文を検証しました。
それによると、二八二本のインプラント埋入本数に対して七・七%の失敗があったと報告されています。
下顎の成功率は上顎の三倍であり、上顎に失敗が多いということもわかりました。
上顎のインプラント一六九五本のうち三エバ%が二年以内に脱落しています。
また、二〇〇四年に発表されたブローネマルククリニックのリサーチ論文によると、インプラント治療を受けた患者の一二%が、理由がわからないままに臨床的問題になるほど急激に骨が吸収されるケースが発生していると報告しています。
これはどうも歯肉に問題があったようです。
歯肉が、骨はもとより、インプラント治療に多大な影響を与えるということを忘れては、治療がうまくいきません。
ご自身の歯肉をしっかり鏡で見ることが肝心です。
三ミリ程度の骨吸収による歯肉の低下は臨床的には問題ないのですが、審美領域では問題です。
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